ぺんぎんクリニック
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  • 院長 中條 進
  • 〒735-0006 広島市中区上幟町9-27
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大腸憩室疾患と繊維食

 最近のストレスフルな世の中で大腸の憩室疾患が増加しています。今回British Medical Journal(BMJ)に食物繊維の高摂取で、憩室疾患による死亡リスクが低下したという論文が載りました。腸の憩室性疾患は腹痛、腹部膨満、便秘等の症状を呈し、一般的な腸疾患でありますが、アフリカと比べ英米などの先進国で患者数が多く、西洋文明化による疾患とよばれてきました。その理由は腸の憩室は十分な繊維質を摂取しないことが原因で出来ると考えられてきたからです。これまでの研究では食物繊維の不足が憩室疾患と関連することが示唆されていて、菜食主義では肉食の人と比べリスクが低いと考えられていましたが、これを実証したエビデンスはありませんでした。そこでオックスフォード大学のがん疫学部門のCrowe 博士らの研究チームががんを中心とする各種疾患と栄養との関連を前向きに調査する大規模コホ―ト研究で菜食や食物繊維の摂取と腸の憩室性疾患リスクとの関連について検討しました。平均11.6年の追跡を行い、対象47033人のうち、15459人が菜食主義者で、812例の憩室性疾患が認められ、そのうち806人が入院し、6例が死亡しました。憩室疾患のリスクは肉食の人に比べ菜食主義の人のほうが低く、1日の食物繊維摂取量との比較的高い(約25g)群では、低い群(14g未満)に比べ憩室性疾患による入院と死亡のリスクが低いと言う結果が出ました。ちなみに日本の場合成人男子の1日摂取目標量は20g、女子の場合は17gとなっています。食物繊維の多い食品からみてみるとゆでいんげんでは約150g、納豆約300g[45gのパックだと7ないし8パック)、玄米だけだと1400gに相当します。またキノコ類のシメジだと640g、大豆だと約300g相当となります。なかなか大変な量ですが、食品を組み合わせることによりなるべくたくさんの食物繊維を摂取し、大腸憩室疾患の予防をしましょう。