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過敏性腸症候群について その2
治療の前に診断基準について書いてみたいと思います。過敏性腸症候群の診断基準は2006年に改定されたRome IIIの診断基準と分類が広く用いられています。Rome IIIでは便の性状により便秘型、下痢型、混合型、分類不能型の4群に分類しています。その診断基準は少なくとも6か月前に症状が出現して、最近3か月中の1か月につき、少なくとも3日以上腹痛または腹部不快を認め、かつ次の3項目中、2項目以上を満たすこと
1.症状が排便により軽快すること
2.症状の発現が、排便回数の変化を伴う
3.症状の発現が、便の性状の変化を伴う
となっています。ただし過敏性腸症候群はあくまで機能の病気なので、器質的疾患除外のための血液生化学検査、血球数、下部消化管内視鏡検査、注腸造影検査等は患者に応じて必要です。
患者さんの話を聞いてから、おなかを調べ、過敏性腸症候群の診断がついた場合に治療となります。治療は生活指導、薬を用いる方法、自律神経のアンバランスの補正、最後に精神科の薬を用いる方法となります。精神科的な薬を用いる方法は、感受性を鈍くし、ストレスをあまり感じなくする方法で、最後に用いる方法だと思います。欧州では催眠療法が盛んで治療効果も高いようですが、日本ではあまり用いられていません。