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機能内視鏡について
これまでの内視鏡は器質的な病変を見出すことを主眼としていました。しかしこれからは内視鏡の通り道の機能までみなければならない時代が来ると思います。声帯の観察をする場合に、腫瘍の有無をみるだけでなく、声帯の動きに左右差はないか、例えば右は動くけれども、左の動きは悪い場合には、同側(左の第X神経の梗塞あるいは神経の通り道)の障害を考える必要がでてきます。具体的な手や足のしびれ等の症状がなくても脳梗塞の確認のため脳のMRI等を取る必要があることとなります。食道と胃の境では胃液の逆流がないかどうか、十二指腸と胃の境の幽門輪では、緊張が強いかどうか等チェックする必要があります(通常はしっかりと観察するため、胃の動きを止めるための薬をうって内視鏡検査をしますが、緊張の強い人(交感神経過敏な人)はそんなこととは関係なく動きます)。大腸の検査の場合も、憩室が多発する人は、腸管の緊張が強く、腸管の緊張が強い人は、交感神経が過敏な人が多いようです。血圧が高いとか、糖が高い等の症状を呈することも多いようです。このように勝手に命名した機能内視鏡ですが、器質的なものだけでなく喉頭、食道、胃、十二指腸、大腸の動きも見ていくことが必要となります。そうすることで消化管だけではなく、それと関連した他の部位の情報も得ることが可能となります。