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食事と小腸
最近の大腸内視鏡検査をしてつくづく感じることは、以前に比べて小腸粘膜が大きく変化していることです。以前は内視鏡を盲腸まで進め、回盲弁(小腸の末端と大腸の境)をくぐるとリンパ炉胞が普通に認められ、ああ小腸に入ったなという状態でしたが、最近では回盲弁を通過しても大腸粘膜と変わらない風景が(リンパ炉胞のない)認められます。丁寧にみるとリンパ炉胞は見出せますが、絨毛も丈が低くなり、色素を散布すると初めて、正常の小腸粘膜(微絨毛から構成されている)に絨毛のないリンパ炉胞がどうにか見出されます。リンパ炉胞は免疫(特に集合リンパ炉胞のパイエル板上にM細胞が認められ、これが腸管免疫)に関与しています。このような変化がなぜ起こったのかと考えると、和食から洋食へ、野菜食から肉食への変化、インスタント食品等々の原因が考えられます。非常に面白いことに夫婦で検査をされた患者さんで、夫には多数のリンパ炉胞が認められ、妻には目立ったリンパ炉胞がなかった例があります。夫は10年まえから厳密な玄米食、妻は玄米食はねえといいながら白米を食べることが多かったそうです。考えさせられる症例です。また担癌の患者さんが、がんの手術をして以来、和食、野菜、乳酸菌の摂取をきちっとすると、リンパ炉胞が以前に比べて格段に増えてきた症例もあります。これも貴重な症例です。