ぺんぎんクリニック
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  • 院長 中條 進
  • 〒735-0006 広島県安芸郡府中町本町1-4-12
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記事一覧

胃と腸の同時検査について

腹部の症状のある人の胃と腸の同時検査を始めて約20年になりますが、同時検査をしてみるといろいろなことが見えてきます。それまでは胃と腸を分けて考えていましたが(西洋医学ではそのように教育される)、検査をしてみると、消化管としてつながっていることが分かります。また消化管は上から下に流れるシステムとなっていることもよくわかります。病気の理解に、最近になりようやく脚光を浴び始めた、アレルギー性鼻炎と気管支喘息のつながり(one way,one disease(一つの通リ道に一つの病気))と同じで、過敏性腸症候群のある人は、逆流性食道炎を合併することが多い(一つの消化管には一つの病気)傾向があります。両方の病気に関与しているのは自律神経のため、自律神経のうち交感神経が過敏な人(交感神経が優位な人)がこのような病気を発症する可能性が高いことが考えられます。そして下位の病気(過敏性腸症候群)のコントロールができると上位の病気(逆流性食道炎)のコントロールもできるようになることを考えると、この考えの正しさがわかります。病気を分けて考えないで、集団として考える必要がありそうです。

食事と小腸

 最近の大腸内視鏡検査をしてつくづく感じることは、以前に比べて小腸粘膜が大きく変化していることです。以前は内視鏡を盲腸まで進め、回盲弁(小腸の末端と大腸の境)をくぐるとリンパ炉胞が普通に認められ、ああ小腸に入ったなという状態でしたが、最近では回盲弁を通過しても大腸粘膜と変わらない風景が(リンパ炉胞のない)認められます。丁寧にみるとリンパ炉胞は見出せますが、絨毛も丈が低くなり、色素を散布すると初めて、正常の小腸粘膜(微絨毛から構成されている)に絨毛のないリンパ炉胞がどうにか見出されます。リンパ炉胞は免疫(特に集合リンパ炉胞のパイエル板上にM細胞が認められ、これが腸管免疫)に関与しています。このような変化がなぜ起こったのかと考えると、和食から洋食へ、野菜食から肉食への変化、インスタント食品等々の原因が考えられます。非常に面白いことに夫婦で検査をされた患者さんで、夫には多数のリンパ炉胞が認められ、妻には目立ったリンパ炉胞がなかった例があります。夫は10年まえから厳密な玄米食、妻は玄米食はねえといいながら白米を食べることが多かったそうです。考えさせられる症例です。また担癌の患者さんが、がんの手術をして以来、和食、野菜、乳酸菌の摂取をきちっとすると、リンパ炉胞が以前に比べて格段に増えてきた症例もあります。これも貴重な症例です。

大腸がんの予防

イギリスの有名な医学雑誌のLANCETの5月号に次のような論文が載りました。すなわち55~64歳でS状結腸内視鏡検査を受けると大腸がんの罹患(かかること)が30%以上減少するということを発表しました。これはS状結腸内視鏡検査を55から64歳までの間に1回受けると、大腸がんにかかったり、大腸がんによる死亡を減らせるのではないかとの仮定にもとずいています。London大学Imperial collegeのWendy S Atkins氏らがこれを検証するために、55~64歳の男女17万432人をスクリーニングを受けた人々と受けない人に割り付け検証を行いました。その結果S状結腸よりもっと深部の大腸がんにかかる割合は36%スクリーニングを受けた人たちでは低いという結果を得ました。このことは内視鏡検査の有効性を示唆していると思われます(LANCET,volume 375,Issue 9726,Pages 1624-1633).ただし、アメリカの雑誌で専門の医師とそうでない医師との間で大腸がんの発見率は異なるとの結果を発表されているため、くれぐれも専門の医師にかかることを勧めます。

大腸内視鏡検査について

お腹が痛いんです、便秘が続くんです、お腹が張るんですと訴えられて来院する患者さんはたくさんいます。一通り理学的診察後、念のため便の潜血を調べてみましょうといい便の検査をしますが、便の検査が陽性となっても、いざでは内視鏡検査をしましょうと言う話になるとなかなか前に進みません。どうも”大腸の検査=痛い”が等式になっていることが多いみたいです。腸の中を内視鏡がごそごそ動くわけですから普通の人は痛みを感じることが多いようです。そのため痛み止めを打って検査をすることが可能なわけで、痛みに自信のない人は検査前にあらかじめそのことを伝えておけばよいのです。楽な検査が普及すると進行がんになって命を落とす人は少なくなるのではないかと愚考しています。

ストレスと自律神経(II)

消化器ストレスと自律神経についてですが、人間に対する実証はまだ十分ではありませんが、ストレスが加わるとインターロイキン18が増え、これが増えると免疫能が低下し,感染やガンに対する抵抗力が落ち、血管では動脈硬化をより助長する(心筋梗塞の人の冠動脈壁からインターロイキン18が多く検出される)という結果が報告されています。交感神経とインターロイキン18との関連も注目されています。このことはストレスが強いと、交感神経過敏となり、その結果感染を受けやすい、がんになりやすいあるいは心筋梗塞になりやすい等の可能性が多くなることを意味します。さてこのストレスですが、受け手の感受性が一番の問題となります。よく仕事上のことが原因でストレスを受け、交感神経が優位となり、手足が冷たくなり、湿り、これが腸に作用すると腹が痛くなり、場合によっては心臓の脈拍が速くなる、血圧が上がる等の症状が連動して起きてきますがそうでない人はここまでの症状は出ないようです。このストレスは仕事上のことだけではなく、学生や子供の場合には、授業(内容のない授業、生徒のほうを向かない教師等)、友達関係、親子関係等がストレスとなっているのではないかとま思われます。また場合によっては夫婦関係も大きなストレスの原因となります。最近では冷たく、湿った手をしている小さな子供も見出されます。小さな子供の場合には親子関係が大きな原因となっていると考えられます。ついでにもしあなたが誰かと話をしているときに手足(特に足)が冷たく湿ってくる場合には、その相手はあなたにとってストレッサーとなります。心理学的には避けるべきものです。

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